
CT検査
CT検査
CT検査では、X線を人体に回転させながら照射し、透過してきたX線の強弱を検出器で収集して、得られたデータをコンピュータで解析・計算して、様々な画像を作成することができます。この検査では体の輪切りの断層写真が得られ、画像処理をすることにより、色々な方向からの断層写真や3次元画像を得ることができます。
当院では、一度のX線照射で多断面を同時に撮影することが可能なので、息止め時間が非常に短くて済み、小さいお子さんやご年配の方、重症患者さんなどの長い息止めをすることが困難な方でもきれいな画像を得ることができます。また、被曝量が少ないだけでなく、撮影時間も大幅に短縮され、患者さんの負担が軽減されます。
※当院では造影CTは対応しておりません。
頭部CTでは、頭痛や長引く嘔気などに対して脳出血や脳梗塞、水頭症、脳腫瘍などの疾患がないかどうかをスクリーニングする検査です。身体診察や問診、採血だけではわかりにくい場合にCTによって疾患の同定が可能となります。頭部CTではわからない疾患もあるので結果によってはMRIや専門医受診に進みます(当院にて紹介状が出ます)。
胸部CTでは肺の状態を細かく調べることが可能です。肺に含まれる気管、血管、そして空気の状態を詳細に観察することができます。これによりレントゲン写真だけではわかりにくい肺炎や気管支炎、肺気腫や気胸、さらには肺腫瘍の検出に有用です。
腹部CTは、肝臓や胆のう、膵臓など内視鏡で観察できない腹部臓器の病変を診断する際に有効です。
また、急性腹症(※)と言われる急激な強い腹痛が生じた際にも、病歴や身体所見だけではわかりづらい疾患に対してCT検査単独あるいは採血や腹部エコーなどの他検査と組み合わせることで、その原因となる疾患の確定診断に役立ちます。
※急性腹症:便秘などの軽微な疾患でも起こりますが、イレウス、膵炎、動脈瘤破裂や動脈瘤乖離、虫垂炎穿孔など重篤な疾患の可能性のある腹痛の総称
CT検査は、X線を使って検査を行いますので、撮影部位にある金属類など、事前に取り除いていただき、検査着に着替えていただきます。撮影部位に金属がある場合、服を着替えてもらったり、アクセサリー類を外してもらう場合があります。これは、診断により良い画像を撮影するためです。そのため、貴金属類をなるべくつけないでご来院ください。
検査前に上記の物がないかチェックさせていただきます。
その際に上記の物は取り外していただくか、脱いでいただくことになりますが、検査着を用意していますのでご安心ください。検査当日は、脱着しやすい服装でお越しください。
CT検査に際し食事や内服の制限はありません。
ペースメーカーもしくはICD(埋め込み型除細動器)の本体にX線が連続的に照射されると、本体の作動に影響を及ぼすことがあります。ペースメーカーもしくはICDを装着されている患者さんは、検査前にその旨をスタッフに申し出てください。また、検査を受ける際は、ペースメーカー手帳を持参するようお願いします。
CT検査では、人体にX線を照射するため、微量の放射線被曝は避けられません。ですが、一度の検査で人体に影響を及ぼすほどの被曝はありませんので、安心して検査を受けてください。また、妊娠中または妊娠の可能性がある方は、その旨をスタッフに申し出てください。
肺の中に細菌やウイルスなどが侵入して感染すると咳や痰、発熱といった風邪のような症状が長く続きます。
肺炎は胸部レントゲンでわかりづらい小さな影や心臓の裏などの病変の検出に有用です。小さな影の場合、肺炎の影か肺がんの初期か区別がつかないことがあるので、定期的な検査を行ったり大きな病院での精密検査が必要なことがあります。
タバコの煙を主とする有害物質を長期間にわたり吸入することで生じる持続的な炎症性疾患です。以前は慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれていました。喫煙者の15%から20%に発症すると言われています。気管支がむくみ、肺の末端が破壊されて、咳や痰、息切れが生じます。進行すると酸素欠乏となり、酸素の吸入を必要とすることもあります。治癒することはありませんが、治療することで進行を抑制します。喫煙中または禁煙後の方で、痰や息切れでお困りの際は、COPDかもしれません。お気軽にご相談ください。
肺がんの死亡者数は、男性1位、女性2位と日本のがん患者数の中でも特に多くみられます(がん種別統計情報2023)。肺がんは、初期には自覚症状がほとんどありません。
病気が進行していくと、咳、血痰、発熱、呼吸困難、胸痛といった呼吸器症状が出ることがあります。
これらの症状は、肺がん特有の症状ではないため、スクリーニングとしてCT検査が有用です。
胸部大動脈瘤の発見および正確な診断するためには、CT検査(コンピュータ断層撮影)がよく用いられます。この検査は、体に放射線を使って、体内の断面を画像として撮影する方法です。CT検査を行うことで、大動脈の膨らみの位置や大きさを詳しく確認することができます。
検査後は特に休息を必要とせず、通常通りの生活を送ることができます。胸部大動脈瘤は早期発見が重要です。CT検査を使って、正確に状態を把握することができ、最適な治療法を選ぶことができます。心配な症状があれば、早めに医師に相談し、検査を受けることをお勧めします。
大動脈乖離とは大動脈の中膜が2層に乖離し、ある程度の長さをもって2腔になった状態とされます(※大動脈瘤・大動脈乖離診療GL 2020年改訂版)。大動脈乖離の診断には、CTスキャン(コンピュータ断層撮影)が非常に有効です。CT検査は、体内の断面を画像として撮影することで、解離の範囲や位置、解離の深さを詳しく把握することができます。大動脈乖離の診断において、CTは非常に高い精度を誇り、解離のタイプ(スタンフォード分類)や治療方法の選定にも重要な役割を果たします。
急性大動脈乖離の多くは激しい胸部・腹部の痛みや冷や汗、血圧低下などで発症しますが、慢性に経過し腰痛や肩こりと間違って診断されている場合もあるので高血圧などの基礎疾患がある方は要注意です。
検査に特別な準備は必要ありませんが、更に詳しい検査のために総合病院への受診が必要です。
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるように、病気があっても症状にあらわれにくい臓器です。肝臓の疾患のリスクとして肝炎の既往もしくは肝炎の治療中の方、アルコールを大量に飲まれる方、稀ですが治療として女性ホルモンの内服を長年している方もリスクになります。この他に血液検査で肝機能異常が指摘されている方も肝疾患が多いことが統計的にわかっていますので、こういった患者様ではCT単独もしくは採血や腹部エコーに加えてCT検査を行うことで隠れた疾患の発見につながります。
また胆嚢に関しては胆石症やポリープ、胆嚢がんなどの検出に役立ちます。
膵臓は、炎症やがんなどによって上腹部から背中にかけて痛みなどの症状が現れます。さらに嘔吐や発熱、消化酵素やホルモン分泌の異常からくる下痢、糖尿病の悪化などの症状が現れることがあります。
血糖値の上昇を防ぐホルモンを分泌する重要な役割を担う膵臓は、腹部エコーや採血では確定診断へむすびつけることが難しく、CT検査が診断に有効です。
※CTだけでは確定が困難な場合には、精密検査ができる病院へ紹介になることがあります。
尿管に結石が詰まると激しい痛みが起こります。一度、痛みが落ち着いた後に再び痛みが起こるのも尿管結石の特徴です。
痛みの他に、血尿が出る場合があります。CT検査では、尿管のどこに結石ができているか、尿の滞留程度などについて詳しく調べることができます。
胸部領域の大動脈瘤と同様に、自覚症状はほとんどありません。腹部大動脈瘤は、高血圧や動脈硬化性疾患の方に多く見られます。最近では人間ドッグのエコー検査やCT検査で偶発的に発見される方も多くみられます。大動脈瘤の治療をするかどうかは大きさ(胸部なら最大短径55mm,腹部なら最大短径45-50mm)とサイズ変化(半年で5mm以上大きくなる場合)で適応が決まりますので、およそ半年ごとに腹部エコーやCTにて経過を観察することが一般的です。
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